優しくなくていいから

悲しい顔はしないーでー♪

全日本後のリショーさんインタビュー

JapanTimesのギャラガー記者のポッドキャストの番組Ice Time Podcastで、全日本後にリショーさんの電話インタビューが公開されました。

大輔さんについての話は24分ごろからになります。2人の英語での会話に続いて、日本語訳も付いているので英語が分からなくても大丈夫です。是非聞いてみてください。

 

嬉しい言葉が沢山だったので、大輔さん部分の訳を書き出してみました。リショーさんがどれほど髙橋大輔というスケーターを評価しているかが分かります。

これを読むと一段と完成したこのプログラムをリショーさんにも見せてあげたいと思ってしまいます。(何より、私が見たいんですけど💧)

 

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G:ところで高橋大輔フリースケーティングも担当しましたよね。それについて話をしてください。
R:彼が最初にコンタクトしてきたときはすごくびっくりしました。最初はショーのプログラムを作ってほしいということだと思っていたら、彼が復帰するというんです。それでショーではなくフリースケーティングだと。過去に彼の作品を作ったことはなかったから本当に驚きました。
普通はプログラムを作る前にお互いを知る時間を取るんだけど、僕は彼の滑りを知っていたし、面白い挑戦になりました。何がいいかを考えました。音楽をどうするかっていうことは復帰にすごく大切だと思ったから、いろんな音楽を考えていくつかを彼に候補として送りました。
そしたら、彼がこれで滑りたいと決めたんです。それで彼がフランスに来て10日間で振付をしました。素晴らしい時間でした。
G:彼は世界選手権のチャンピョンであり、オリンピックメダリストであり、レジェンドであるけど、彼はブノアからの提案にフレキシブルでしたか?
R:もちろんです。それに彼のようなスケーターと仕事できるのは本当に幸せです。彼の動きは本当に違うんです。誰かに振付をするときは、彼らが氷の上でどう動くか、どんなパーソナリティなのか見せてもらうのですが、彼を見たとき絶対にコンテンポラリーでいこうと思ったんです。大輔のことを考えたらクラッシックをやろうとは思わない。なにか特別でモダンなものをと思います。
それに部分的にクラッシックな動きをする必要があっても、それがクラッシックに見えないんです。常にそれは大輔なんです。彼には特別なスタイルがある。彼と一緒に滑っていると、彼は本当にすごいインパクトをフィギュアスケートの世界にもたらしたと気づきました。今滑っているすべてのスケーター、特に男の子達は、かつて子どものころに大輔のファンだったんです。なぜなら彼らは大輔がするようにクロスオーバーや腕の動きをしますから。すべてのスケーター、チャンピョンでさえも彼を愛しています。今現在のトップスケーターでもそう感じます。だから振付をするのはすごく難しく感じました。
こんな動きは今まで見たことがない、めちゃくちゃ複雑だと大輔に言われました。何日か一緒にしてから、少し間をおいて彼はそれを掴んでいました。数日後には彼はすべてを理解していたんです。すごく大変だったと思います。だけど彼に簡単なことはしたくないと言ったんです。もちろんできないことを振りつけるつもりもない。だけどあなたの動きを見て挑戦したくなったと。もっとできると僕にはわかるからと言いました。全日本の滑りは、やはりプレッシャーなどもあってよくなかったこともありますが、*4Tを考え始めてからいろいろ変わってきました(リショーさんの言葉だと、冒頭の4Tが3Tになった為、他のジャンプ構成についても3Tがザヤらないように考えながら滑らなくてはいけなくなったという意味)。プログラムの中でもいろいろなことを考える必要がありましたから。だけど、それでも素晴らしい滑りでした。いくつもミスがあったとしてもね。見ている人は彼のパフォーマンスは特別だって感じられたと思います。
G:もちろん。会場はすごい盛り上がりで、ドラマチックな瞬間でした。日本のスケーターと仕事をするときは英語を話すんですか?それとも通訳がいるの?
R:英語でしゃべります。花織の英語は完璧じゃないけど、僕が言うことは完全に分かっていると思います。大輔も分かっている(実際には、大輔は(英語も)すべて理解している、とリショーさんは言っていると思う)

僕はいつも英語をしゃべるけど、日本人の面白いところは、英語は僕も花織や大輔も第一言語じゃないんです。だからお互いに感じあってる。ときどきは言葉も必要ないくらいなんです。僕が振付をするときはデモンストレーションをたくさんするし、見せることもかなり重要なことです。それを見て彼らは何をするべきかを理解します。そうやってお互いに滑りあってやるべきことを見つけていくんです。

[中略]
(昨季の三原選手への振付について問われて)
R:残念なことに昨シーズンは完璧なショートプログラムというのが難しかったから、あまりミスが多いと、プログラムはうまく機能しなくなるんです。もっと自信を持たなきゃいけなくなる。大輔の場合はそれを超えているところがあるけれど、僕が彼女と仕事をしていた時は、彼女はまだそこまでは行けていなかった。

[中略]
(今後ほかの日本選手に振付することがあるか問われて)
R:いくつかすでに連絡をもらっているし、日本での仕事を増やしたいと思っています。日本人のメンタリティは時間を取るのが好きですね。彼らはすごくよく見ています。今、僕は日本人と仕事をしだして2シーズン目ですが、大輔のような人が僕のアドバイスを求めたり、僕にプログラムを依頼してくれるのはとてもありがたいです。だから僕は日本でもっと仕事をしたいとも思います。日本人と一緒に仕事するのがすごく好きです。


G:ブノアリショーの名前は日本のファンやメディアの間で有名になっています。月曜日(おそらく12/24)にアリーナに向かって電車に乗っているとき、僕は帽子をかぶっていたんだけど、日本人のファンに「すみません、ブノアリショーさんですか?」って聞かれたんです。「違いますよ、彼はもっとハンサムだ」って答えたんです。彼らは君が日本にいるかもしれないと考えたみたいですよ。西日本の時に居たのでね。(正しくは近畿ブロックの時だと思います)
R:きっと多くの人がそう思っていたと思います。1週間前には日本に居ましたから。けど、全日本が大阪であるって知らなかったんです。全日本が始まった後に、いつ始まるかを知ったぐらいだったんです。だけど僕は息子に会うために家に帰らなければいけなかった。もしかしたら、世界選手権の時にはまたいくかもしれないですが。
G:そうなったら素晴らしいですね。花織も出演するし、きっとアリーナを楽しめると思います。ソチオリンピックの後、2014年の世界選手権の時には、1万8千人の人が4日間毎日見に来たんです。天井まで空席がなかったくらいでした。日本人のファンが世界中のスケーターを応援するのはすごい光景ですよ。
R:いつも競技会ですごく多くの人が応援してくれているのを見ると感激するし、フィギュアスケートはすごくラッキーなスポーツだと思います。特に今の日本ではね。僕の妻が全日本選手権を見ているときに言ったんです。「とても面白いわ。フィギュアスケートと、日本のフィギュアスケートがあるみたい。競技会を見ていると彼らは違う世界にいるみたいだわ」と。不思議なことを言いますよね。だから彼女に「間違いないよ。そこにいったら普通のスケートの世界じゃなくて、違う世界のように感じるんだよ」って答えました。ほとんど現実じゃないみたいなんです。日本のフィギュアスケートの好きなところは、僕を魔法にかけてくれるところなんです。理解してもらえるかどうかわからないし、ちょっとクレイジーに感じるかもしれないけれど、本当にそうなんです。些細なことが映画を見ているように輝く世界を作ってくれるんです。日本で競技会に行くとそれを感じる。小さい競技会でも関係なくね。たとえば大輔が出た西日本のような。すごく感激しました。GPSや世界選手権じゃなくても熱心なファンがいる。それを思い出し、妻に言いました。「本当に素晴らしかったよ」と。だって自分の国に帰って競技会に行くと20人しか観客がいなかったりするんです。
G:大輔が西日本選手権に出たとき、チケットはオンラインでわずか1分で売り切れたほどだったんです。月曜日、彼が出場するときには駅の周りには50人は人がいて、みんな「チケット譲ってください」っていうサインを持っていたんです。チケットはすでに完売していましたからね。驚異的でした。フィギュアスケートはいまや日本で一番ポピュラーなスポーツなんです。