日光東照宮 御鎮座400年記念コンサート
前の週の「厳島神社世界遺産登録二十周年記念コンサート」は、全くチケットが取れなかったけれど、日光は運良く友人が当ててくれた。
しかも3列目ぐらいという神席。
セットリストはCOREとは全く違うバラードを中心としており、その中でも世界平和や大きな愛情を感じさせるような内容のものが多い。
五重塔の塔の前にステージが作られていて、それほど広いスペースではないので東照宮の閉館後に通路にもパイプ椅子が並べられ客席が完成していた。
天気はお昼頃に着いた時は雲行きが怪しくなっていて夜まで持つか心配だったけど、結局雨には降られずに済んだ。
五重塔と杉の木立をバックにしたステージに、スーツにオールバック風の髪型で藤井さん登場。バンドはベース、ギター、パーカッション、キーボードとバイオリンという構成。
神社内といっても鳥居と門の間で、ライブ用の照明以外はない。
ステージ前に篝火が用意されており、敢えて明るくし過ぎないライティングがよりその雰囲気を荘厳なものにしていた。
昼間の木漏れ日にそよぐ木々とは違い、闇に浮かぶ木々に風が吹けば、畏怖さえ感じる。その雰囲気が見る側にも程よい緊張感を与える。
そんな中でその声を丁寧に響かせながら言葉を紡ぎ出す。それはとても愛おしそうに、幸せそうに。
久々に聞いたBirthに心を揺さぶられる。
人が生を受ける事、そこには偶然はない。輪廻転生をベースにした世界観。
あぁ、彼は本当にここで歌える縁に感謝し、その喜びを歌にしている。
そしてその歌のパワーをバンドメンバーもスタッフも観客も受け取り、笑顔が伝播していく。
ステージ脇でリズムに合わせて身体を揺らしながら、口ずさむスタッフもいる。彼の声に呼応するように音を奏でるバンドメンバーも終始笑顔だ。
光に飛び込んでくる虫達も、静かにさざめく木立も、彼の声に呼応しているよう。
思えば、まるでツアーのように2週続いて行われた世界遺産ライブだが、本人いわく本当に偶然で厳島神社の話を頂いた3日後に日光東照宮のお話を頂いたとか。
さらに厳島神社の1日目はオバマ大統領の広島訪問と重なったせいで、戦争と平和…責任と権利…謝罪と許し…そして矛盾。そんな事を考えさせられる日だった。
その日に広島の厳島神社で歌うという事にはさすがに運命的なものを感じずにはいられなかった。
答えが見つかってるわけじゃないし、そこのは多くの矛盾もエゴも存在してるだろう。けれど…それだけじゃない確実にそこにあった想い。
その日広島に全世界から向けられたその想いを祈りを歌にして、海に空に山に届ける。それが彼の役割だったのかなと。
COREで見たものとは全く違うアプローチ。
それを感覚的にやってしまう人なんだななんて改めて思う。
私自身もその場に居られた縁に感謝しながら、その特別な空間を楽しませてもらった。