氷艶hyoen2017-破沙羅
氷艶が終わってから2週間も過ぎてしまった
これだけの期間、ロスになったのは、彼が引退して初めて。
最初に制作発表があった時にはあまり想像もつかず、なんともわからない感じだった。少しずつ情報が増えるとともに、楽しみは増えてきてはいた。
けれどまさかこんなにハマるとは・・・
ここのところの私はといえば、テーマ曲は「Heyみんな元気かい?」だった
「退屈にやられないように注意しながら、時を過ごす。心を揺さぶるものはほとんどない。楽しいと思い込ませる」
アイスショーを見ても、ライブに行っても、その時は楽しいのだけど、前にあったような、情熱が湧いてこない。自分の心の問題だ。
彼が引退してここまでショーに出たり、色々やっていても、やはり現役の時ほどの強い感情が湧いてこなかったというのは正直なところだったし、あそこに、あの瞬間に残してきた勝手な思いが残像のようになっていたんだろうとも思う。
昨年のLOTFは、現地に見に行くのは楽しかった。
今思えば彼が必死で戦ってるあの空気感が感じたかったんだろう。
いざ映像となったら、私個人は何度もリピートする程にはならなかった。
それはきっと氷上じゃないからだろうと思っていた。
ダンスをする彼も才能に溢れている。
だけど彼が全精力を注いだ時に、それが異次元に行く可能性が高いのはスケートだろうと。そう、彼が現役時代に見せたたくさんの奇跡みたいな演技のように。
陸のダンスであれば、まずベースの部分への積み上げに時間がかかるし、その上をいくもっとたくさんのダンサーがいるだろうということだ。
今回の氷艶でその気持ちは揺らいだ。氷上である必要性はないのかもしれないと。
初回公演でスタンド2階の遠い席から、何の情報もなく見た、阿国の踊り。
氷上にたった一人…じゃないのに、もしかすると観客の何割かはまだそれが彼であるかも気づいていないのに、そこにいる誰もが息を飲んでその動きから目が離せなくなる。
「なんなんだ、これは?」と思うと同時に、心のどこかで「これだ、これが髙橋大輔だ」と思ってる自分がいる。
そこにいる人たち全てを飲み込み、会場の空気を完全に支配する・・・
形は違えど、同じ会場で見た2013年のNHK杯のSPを思い出した。もちろんあそこには、勝ち敗けというまた少し違った観客の思いも渦巻いていたけれど、そんな思いも感情も、彼の演技が作り出す空間が全てを飲み込んでいた。
面白い。本当に面白い人だ。
今の彼は本当にキラキラしていて、私には少し眩しい。
心技体が揃ってこそと現役時代によく言っていたけど、そういうことなんだろう。
迷いの中、それでも帰国して、LOTFで心が戻ってきたがまだ身体と技術が追いつかない。
スケートはあるレベル以上のものは、いつだって見せることができる。
けれど、ギリギリのところまで追い詰めて作りだされていたあの頃の演技と比較したら、少し物足りなさもあったりした。
彼自身もプロのスケートの目指すべきものが、まだ見えていなかったんだろう。
ここでは、心も少しバランスを欠くのかも。できることが多い分、もっと強い心の力が必要とされるのかもしれない。
少しずつ心技体がそろっていく。いや、そろえていくのか。
今年のLOTFはまた違う次元のものが見られる気がする。
その先のアイスショーはどうだろう?何か変わるんじゃないだろうか。
楽しみが増えた。
本当は彼が引退したら、ファンはやめようと思ってた。
私も彼が言う通り、分からなかったから。プロのスケーターが目指すものが。
今だって別に分かってない。
だけど何だか何かがある気がするんだ。
(氷艶の感想は別に書くかも)