優しくなくていいから

悲しい顔はしないーでー♪

GPSが終わって

はじまったと思ったら、本当にあっという間にGPSが終わってしまった。

いろんな大どんでん返しもあったりなかったり、やはりポイント制というのは、分かってはいても不公平さを感じてしまう。でも点数も試合ごとに出方が違うというのもあるので、難しいところだけれど。

そんなこんなで我らが大輔氏は苦しみながらも8回目のファイナル進出を決めた。膝の怪我で休んでいた2008年を除いてトリノオリンピックシーズンの2005年から8年出続けているということ。

さらに過去の結果は3位、2位、2位、5位、4位、2位、1位というなんだかすごいもの。私がスケートを見始めたころの成績が5位と4位だったからてっきりいつもファイナルはイマイチなのかと思っていたところがあったけど、むしろその2年が逆の意味で特別だったようだ。

GPSの各大会の採点表を見ながら、本当に大ちゃんはすごいなと思ってしまった。なぜなら大ちゃんが突出して他の人より優れてる部分は今の採点システムではほとんど得点化しないからだ。しかもどちらかというと苦手なところがおっきな得点源だったりしている。それでも9年もの間、多少の浮き沈みがありながらもトップでいたというのは、彼がどれだけの努力を続けてきたかという証明でもある。

今年のGPSでは、たくさんの選手がSPでは90点を越えてきた。4回転の得点がプラスされるから当たり前なのかもしれない。そしてジャンプにミスのない演技をした選手にはそれなりのPCS高得点も与えられることが多い。

個人的にはジャンプの評価は着氷の流れに着目するあまり、他の視点からの加点も減点も足りないように思う。離氷前や着氷後の姿勢の悪いジャンプの方が着氷がちょっと詰まっただけのジャンプよりずっと見栄えが悪いように感じるのでGOEの付き方に違和感を覚えることもある。

しかしながら、パトリックのエリック杯の演技を見ていて、やはり凄いと思った。ここまでやり切ればこれはこれで芸術の域だろう。大ちゃんとは違うアプローチではあるが。自分の滑りに合う音楽を持ってきて、どの要素も姿勢をとってもスピードをとっても文句のつけようがない。

昨日のGet Sportsでまた「ダイスケと僕は特別だよ」的な発言をしていたが、ここまで言われると大ちゃん的には、嬉しいのを通り越して、嫌がらせ?ぐらいの気分だろうか(笑)。

このパトリックの発言、字幕の翻訳では「彼が一番僕に近い存在でたぶん実力は互角だよ」となっているが、最初の方が「コンポーネンツ・・・」と言ってるのが気になったので、「コンポーネンツ(PCS)だけが互角」と言ってるのかと思い、一生懸命聞きとってみたところこんな風に言ってる気がする。(そんなに自信ないです)

「components either, he is the closest to me. I mean, virtually, I think "equal".」

eitherとあるからコンポーネンツ"も"ですね。その前に技術的にもと言ってるのが切れてるのか、技術的にはあえて言ってないのかも。その後は字幕の訳のままかな。「コンポーネンツも、彼がもっとも僕に近い。と言うか、実質的にはイコールだと思ってる。」

パトリックは、バンクーバーオリンピック前に「この採点システムであれば僕は4回転を跳ぶ必要はない。」って言っていたとどこかで読んだことがあるが、すごく頭がいいというか、客観的に自分のスケートや採点システムを評価してるんだなと思う。ただの自信満々な発言じゃなくて、バンクーバー前のまだこの採点システムに皆が頭を悩ませていた段階で、自分の滑りがこの採点システム上でどれだけ有利かということを分かっていたってことだろう。「この採点システムで」とつけている以上、単にナルシストというわけではないように思う。

まぁ、そして彼のその考えを覆したのが、バンクーバーオリンピックトリノ世界選手権の高橋大輔だったのだろう。実際トリノ世界選手権の大ちゃんのFS演技後、会場脇で薄く微笑みを浮かべながら拍手しているパトリックの姿が映っている。今これを見るととても感慨深い。

あれからもうすぐ4年。実際の成績(順位)はイコールではないが、少なくとも最近のPCSの点数の出方を見る限りではパトリックとイコールになりうる評価をもらっている。大ちゃんのアドバンテージである音楽との同調性やいわゆる表現力は、実はそれほど大きな得点として評価されてなかったにもかかわらずだ。自分の弱点と向き合って、克服するために努力してきたことが少しずつ形になってきたんだと思う。

ソチで集大成を見せるためには、大ちゃんにはまだ越えなくてはならないいくつかのハードルがある。けれど、それを超えられるだけのものをこの3年ずっと積み重ねてきた、いや、3年だけじゃなくスケート人生すべてで。

だから、テレ朝のアナウンサーさんがカナダの番組でコメントしていたように私も思う。

「He has to go to Sochi Olympic!」