優しくなくていいから

悲しい顔はしないーでー♪

氷の鍵盤

気が付けば2月になってしまい、オリンピック男子シングル本番まで2週間を切ってしまった。けれど、あまり五輪とは関係なくただの妄想。

ちょっと前にツイッターで、偶然に大ちゃんに遭遇したファンの方が、ファンであることを伝えたら、どのプログラムが好きか聞かれて、焦って答えられなかったというような内容のツイートがあって、

私はまず、仮に出会うことがあっても気付かないかも・・・(あまり周りを見て歩いてないので)、気づいたとしても声をかける勇気はないだろうなとは思いながらも、ちょっと考えてみた。

そもそもこんな質問したこと自体、ちょっとしたいたずら心じゃないかなんてのも見て、やっぱりeye、VAS、ブルース辺りが思い浮かんだわけなのだが、なんかありきたり??ロクサーヌも好きだけど、競技会でやってた頃はファンじゃなかったしなぁ。ソナチネビートルズはこれからもっともっと好きになるから、現時点では入れないとして。

とか考えていたら、何気に月光かも、と思ったのである。

実は今でも時々去年の世界選手権のSPは無性に見たくなってしまうのだ。

どの辺が好きなのか、それも考えてみると、ピアノだからなのかもしれないなと思った。もう10年以上弾いていないが、子供のころピアノを習っていたので、ピアノの鍵盤をたたいて音が体に響く感覚をなんとなく知っている。その感覚を彼のあの演技を見ていると思い出すのである。

いや、思い出させるどころがなんというか(弾けもしないのに)まるで弾けていたような錯覚なのだけど。たぶん多くの人がピアノの鍵盤は学校なんかで触ったことがあると思うので分かるだろうと思うが、強くたたけば大きな音が出て、小さく押せば小さな音になる。勢いをつけてスタッカートになり、長く押して響かせたり、高い音と低い音では響きが違ったり。深いことが分かるほど真面目にやっていなかったので大したことは語れないのだけど。

たぶん大ちゃんの動きはそういう音の変化を音符だけじゃなくて強弱や音楽を奏でている演者の出そうとしている音を

全部とらえているんだろう。最初に見たときの印象は「まるで鍵盤の上を滑ってるみたい」だった。彼の中から音が出ているみたいだという表現をよくされるが、彼はまさに演技をしながら演奏をしているんだなと思った。

残念なことにこの世界選手権の動画は音が少しずれているのだが、録画したTV放送のものは全くずれていないのでそちらがおすすめ。

実は同じようなことをAOIでも感じた。私は藤井ファンでもあるので、私がいつも感じている彼の歌おうとしている音に一番シンクロしてくれてたのは大ちゃんだったように思う。なんというのか、藤井さんはいろんな人や楽器の伴奏で歌うことが多いから、やっぱり慣れてない人だと合わなかったり、合わせようというお互いの気遣いが感じられてしまったりと微妙な波長のずれがある。もちろんプロだから、それでもうまくまとめることはできてるんだけど、やはりすごくいいときは、全部の音が藤井さんの喉を通して聞こえてくるような感じになるのだ。正直AOIで藤井さんの歌と演奏の合い具合という意味では、よかったけれど、そこまでには達してなかったと思うのだけど、大ちゃんの演技は藤井さんの音というか歌の波長をちゃんと感じて演じてくれていたと思ったのだった。あ、でも藤井さんの感想からすると、大ちゃんの世界に巻き込まれてたのかもしれないけどね。どちらにしても頭で考えずにできてるというかそう思わせられるのがすごい。

バイオリンが弾ける人なら、ソナチネを見ながら同じようなことを感じるのかもしれない。最近の彼の滑りは、よりシンプルな音であるほうが良いように感じるのは、彼の生まれ持った音感、音楽を捉える力を以前よりも直接的にそのスケーティングが余すことなく伝えられるようになってきたからなのかもしれない。