いろいろと

例のゴーストライターの問題、私自身は当事者たちは意外とどうでもよくて、もっとも腹が立ってるのはあのタイミングでわざと発表させた文春。もっと早いタイミングでも遅いタイミングでも記事にできたはずなのに、話題性の為にわざとオリンピック直前に発表させた。

膝の状態も含めて怪我後約2か月満足に眠ることもできなかった高橋選手の心をこれでもかというところまで追いつめた。彼はその運も含めて自分の実力というような人だから、全日本後の１ヵ月ちょっと、ギリギリのところでそれでも少しの可能性でもと必死で戦ってた彼にとってはこういう騒動が起きたこと自体が、内容云々ではなく、大きなダメージであっただろう。

そして報道があった直後からその偽作曲家のことを悪く言う人の証言ばかりが報道されていく。その前は美談ばかりを報道していたにも拘らず。

結局マスコミは何も学ばなかったわけだ。今度は一辺倒に同じような、その偽作曲家があり得ないぐらい悪い奴で自分たちが被害者だとでも言いたげに、そういう事実を補強するような報道しかしなくなる。

偽作曲家の人には全然同情もしないが、きっと軽い気持ちで金になるかなぁなんて始めたことが、どんどん美談で塗り固められて大きくされて、そこまでいってしまってから自分の力で収集つけられるほどの立派な精神の持ち主だったら、初めからこんなことしてないなとも思う。その状態になってから何もかも捨てて、ちゃんときれいに収められる人なんて相当立派な人じゃない？元々それを始めようとした人がそんなすごい人の訳ない。そんな期待する方がおかしい。

そういう意味じゃ、小悪党がマスコミのつくった美談シナリオ攻めによって結果的に大悪党にされちゃった感がある。

他の国は知らないが、少なくとも今の日本ではなんだか極端に偏った方向でしか報道がされないように思う。仕事だったり立場的に仕方がないのかもしれないが、その報道の渦中におかれてしまうことの不運を思わずにはいられない。渦中にいるとなればそれは犯罪者でも人気者でも英雄でもなんでも一緒だ。

例えば浅田選手の報道。どれもこれも前人未到の8つのトリプルを「決めた！」、そして自己最高点を出したという報道。回転不足を取られていたことを小さくは報道するものの、そんなことよりお涙ちょうだいのシナリオのヒロインに好感度抜群の浅田選手を抜擢して、視聴率を取ることだけが目的。

あらかじめ用意された彼らが考える面白いシナリオを補強するためだけの取材しかしない、そのための証言しか報道しない。

偽作曲家に対する報道と、このアスリートたちに対する報道とどれほどの差があるんだろうかと思えてしまう。

いいことが報道されているうちは感じないかもしれないが、これは両刃の剣だと思うから。

最近の話題で言えば、ＳＴＡＰ細胞の研究者の方。数か月前は若くて美人で天才とでもいうようなものすごい報道のされ方だったが今となってはどうだろう。。。この研究者の方と例の偽作曲家の扱いにどれほどの差があるのかと思ってしまう。

それとか、バンクーバー五輪で腰パン騒動の中心だった彼が「改心」してソチの銀メダリストのサポートをしてたという記事も見て笑ってしまった。「改心」しなきゃいけないほどの悪人だったのか？そこまで気づかなかったのはどちらかといえば周りに責任があるし、あの程度のこと若気の至りでしかない。

彼はあの程度のことで「悪人」にされ、今度は次のメダリストの美談で「善人」にされたのか・・・。

結局マスコミは、その人や事にものすごく興味のある人に対してではなくて、たいして興味がないつまり無関心な大多数の人しか対象にはしていないから、そういう人が興味を持つように極端なシナリオを描く。

そしてそのシナリオから外れるようなことがあれば、今度は逆の方向に突進し始める。

話題は、どんどん移りゆく。芸能もスポーツも、音楽も科学も縦横無尽にシナリオは作り上げられていく。

浅田選手の挑戦はこのオリンピックにおいては彼女自身の点数やメダルとなって戻ってくることはなかった。けど、彼女は身を削って、この採点方法の問題点を提起していると思う。彼女が問題を提起したかったわけじゃないと思うけど、それでも何かを訴えかける演技だった。

それなのにマスコミは対岸の火事のように、韓国とロシアの採点論争を報道してる。

自分が応援してる人も含めて、話題の中心になってあまりの美談ばかりに報道が偏ってるとなんだか胸が苦しくなる。何かあれば反動で真逆に言ってしまう危険性もあるし、本人たちも窮屈だろうと思うから。人間なんだからいろんな面があって当たり前なんだし。

悪い報道をしてほしいわけじゃなくて、等身大でいいんじゃないかなと思う。もっといろんな視点から報道することへのプライドと個性のある報道っていうのは難しいものなのかな？