優しくなくていいから

悲しい顔はしないーでー♪

全日本をグダグダ

XOIが終わった後から実家に帰っていて、カウントダウンだけ武道館に戻ってきて、元旦早朝にまた実家に戻るという久々の強行をしてみた。

いい年齢をしてアホなことしてるなぁとは思うけど、去年はあの怪我のニュースがあって全日本に集中しなければいけないというか、頭がいっぱいになっちゃったので、せっかくのアリーナチケットがあったにもかかわらず売ってしまった(もちろん定価で)。

実際に全日本で力尽きたので、後悔はしてないけど、日本にいなかった一年を除いてはすべてのカウントダウンに参加していたし、最後になるかもしれないしというのもあって無理を承知で参加を決めた。

まぁ、そんなこんなで年末年始は実家でまったりだったので、あまり自分の意志でテレビを見ることもなく、全日本も全く見る気もなくいたのだけど、なぜだか男子のフリーの放送は全部見ることに。

男子SPは偶然電気屋にいて、母がいたのでテレビ売り場にいったら、ちょうどこづくん。大きな画面に映る彼は顔色も悪く、やつれて見えて、思わず立ち止まった。「たかひこがんばっ」って思いながら見てたけど、ジャンプのミスが目立ち、明らかに調子が悪そう、それでも強い意志を持って戦う彼はとても美しかった。

悲壮感は人を美しく見せるのか、そういう問題ではないのかわからないけど、どうしても去年の大ちゃんを思い出してしまう。「綺麗だったね、でも良くて70点代前半かな」と私が言い、そのまま電気屋を後にした。

あとで結果を見たら本当にそんな点数だった。でも彼比で他の試合よりPCSは高かったよね。この二年は全日本だけ高いように思う。同じぐらいの評価が国際大会でも出るといいけど。

家で見ていたフリーは、ずば抜けて昌磨くんの独壇場だったように思う(点数はそうではないけど)。少なくとも私が見ていてワクワクする演技は彼だけだった。

こづくんもプライドが見えて、すごく攻めていて、4Tを2本入れてきたこと、3Loを入れてたことに彼の並々ならぬ覚悟を感じた。3Aが2本決まったのと4回転以外のジャンプはほぼ決めたので、終わった後は「やったぁ、よかったね」と。4回転が回転不足っぽいのでどういう点が出るのかなと思ったけど結構出ていたのと、(点数的には)ムラ君、まっちー、ダイス君が崩れたのもあったとはいえ、世界選手権代表に選ばれたのはよかったと思った。

女子もフリーは見ていて、ショートでかなこちゃんが厳しい判定で順位が低かったので、もっとなんというかジュニア選手たちが怖いもの知らずでジャンプミスなしみたいな演技をするのかと思っていたのだけど蓋を開けてみれば、やはりなんだかんだで世界のシニアで戦った経験のあるサトコちゃん、リカちゃんが一番安定してた。

とはいってもプロトコルは誰もが<刺さりまくりでなんだかなぁと思った。何が正しいかなんてわからないし、こづくんが言うとおり厳しい判定にみんな力が入りすぎて実力が出せなかったのは確かだと思う。

私はこの採点システムのこの部分は特に大っ嫌いだし、意味も感じない。なぜならテクニカルコントローラーが見てる映像の角度によって変わってしまうようなこともあるし、先入観がかなりものを言っているように感じる。

でも、世界大会でこういうことがないとは言えないし、これが今の採点システムだからこれで力が出せるようにしてあげるしかないということなのかもしれない、特に今回は若い選手が中心だったから。

たとえばこういう判定だと分かっていてもサトコちゃんは動じなかったのは、2年前の世界ジュニアで似たようなことがあったからかなと思ったりもする。彼女もプロトコル的には結構刺さってたけど。

カナコちゃんがフリーのあとに「来季にはジャンプも修正する」と言ってたのを聞いて少しうるっとしてしまった。彼女が躊躇なく来季を語っている事実に。

私が「まぁそれでも上はジュニアの子がほとんどだし、カナコちゃんは代表に選ばれるんじゃないかな?」と言ってたので、家族が「でもこの子こんなこと言ってるから今シーズンもうないと思ってるんだ」というから、「たぶんね、選手が一番そういう計算ができないのよ、「駄目だった。こんなんじゃ選ばれない!」って思うんだよ、去年の大ちゃんと一緒。」と答えてみた。

なんにせよ、この競技は詰まる所、不条理との精神的戦いなのかもしれないな、ほとんどの選手にとっては。

なんといってもまっちーの引退は衝撃だった。

彼の今期の行動や発言を見ていて、あぁもう来年はやらないんだなとは思っていたけど、このタイミングでしかも世界選手権を辞退してというのはさすがに想像していなかった。

でも、用意周到とか言われていたけど、きっと迷いはあっただろうし、当日に決めたというのは嘘ではないんだろうとも思う。

初めて生で見たアランフェスやショートの黒い瞳の頃は結構好きだったのだけど。

私の彼の印象は素朴で優しい純粋な青年で、あの風変わりなキャラは完全に自分を隠して戦うためのものだと思っていた。

実際あのキャラで「研究者になる」みたいなことを言われたら「文学者」にでもなるの?と思ったけど、実際は「スポーツマネジメント」としっかり今の立場からの地に足のついた選択だし、すごく冷静に客観的に自分やこの競技を見ていて、まさにマネジメントしたんだろうと思う。

テレビで流されるインタビューなんかでは「ん?」って思うこともあったけど、ちゃんと全部の話を雑誌やインタビューで読むと、選ぶ言葉の端々から他者への尊敬の念も感じ取れたし、本当に真摯に答えているんだろうと私には信じられた。

発表後のムラ君とのやり取りの映像はみていたら泣けてしまった。彼らのいろんな思いがあふれていて。

彼がどれほどの覚悟で昨シーズンを戦っていたのか痛いほどわかったし、競技として追い求めるものと、純粋にフィギュアスケーターとして追い求めるものが交わることはないと悟ったのかもしれない。

昨シーズンと今シーズンスケアメの調子の良さを見ていて、ジャンプのミスはあり、決して彼の完璧な演技ではなかったんじゃないかと思うのだが、それでも「自分のすべてをつめこめた」と言い切れるのが彼の強さなんだなと思った。

自分の価値観のものさしで満足ができる。

その決断が正しいのか正しくないのか誰にもわからないけど、褒められることも貶されることも彼自身いろんな想定やシュミレーションをした上で決めたのだろうからファンでもない私から何も言うことはない。ただただ未来に幸あれ。

そして、そうやってたくさんの選択肢を後輩たちに見せていってくれるのはいいことなんだと思う。

先シーズンの彼が日本のいや世界のフィギュアスケート選手に与えた勇気はかなりのものだったんじゃないかな。

大ちゃんより年下とはいえ、私のこの短いスケート観戦歴で見てきた選手が次々といなくなるのは思った以上に寂しい。こづくんが来季どうするのかわからないけど、来季の全日本は今期の女子並に雰囲気変わってしまうのかなとは思う。

今年も十分変わったんだけど、それ以上に違う時代へ突入なのかなぁ。。。